山林を所有すると、固定資産税の納税が必要となります。また山林を相続する際には、相続税を支払わなければなりません。
相続で山を所有する予定のある人や山の購入を検討している人にとっては、こうした税金がどれほどかかるものなのか、気になるところではないでしょうか?
そこで今回は、山林に課税される固定資産税と相続税について、その計算方法も合わせて解説します。山の所有を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
固定資産税とは、毎年1月1日時点で、土地や家屋などの不動産を所有する人が支払う税金のこと。山林も不動産の一つであるため、固定資産税の対象となり、1月1日時点で山林を所有していれば、その年の5月頃に市区町村の役場から固定資産税の納付書が届きます。
この固定資産税は、当然山を所有している限り、毎年納税する必要があります。
では、山林の固定資産税は一体どのくらいかかるのでしょうか?
固定資産税は次の計算式によって、金額が決まります。
固定資産税課税標準額(千円未満切り捨て)×1.4% = 固定資産税(百円未満切り捨て)
計算式を見れば分かる通り、固定資産税課税標準額の数値が大きくなれば、支払う固定資産税額が増える仕組みとなっています。ではこの固定資産税課税標準額はどのように決定されるのでしょうか?
固定資産税課税標準額を決定するには、地方自治体に不動産の評価を行ってもらう必要があります。評価は「田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、雑種地」という9つの地目(ちもく)別に定められた評価方法に基づいて、評価が行われます。
山林は、基本的に地目の一つである「山林」における評価方法で評価されます。ただし、評価は、登記上の地目ではなく、その年の1月1日における実際の利用状況をもとに行われます。登記地目が山林になっていても、もし山林に家を建てているのであれば、評価は「宅地」として行われることになり、評価額は大きく変わってくるので注意が必要です。
山林の場合、固定資産税課税標準額は、宅地などの不動産と比べてかなり低く抑えられているのが特徴です。そのため、山林の固定資産税は安く済むケースがほとんどです。また山林によっては固定資産税がまったくかからないこともあります。
では、なぜ固定資産税がまったくかからずに済むのでしょうか。それは、固定資産税には免税点という制度があるからです。多くの自治体では30万円を土地の免税点としているため、固定資産税課税標準額が30万円未満であれば、固定資産税はかからないということになります。つまり小規模な山林の場合は、山林に固定資産税が課せられることはほとんどないと言えるでしょう。
売却などで、年度の途中に山林の所有者が変わった場合、売却前の期間分は売り主が納税し、売却後の期間分は買主が納税することとなります。基本的に固定資産税は、1月1日に山林を所有していた売り主が1年分の固定資産税をまとめて支払うため、買い主は売却価格にプラスして、所有する期間分の固定資産税を売主に支払うこととなります。
売却などで、年度の途中に山林の所有者が変わった場合、売却前の期間分は売り主が納税し、売却後の期間分は買主が納税することとなります。基本的に固定資産税は、1月1日に山林を所有していた売り主が1年分の固定資産税をまとめて支払うため、買い主は売却価格にプラスして、所有する期間分の固定資産税を売主に支払うこととなります。
相続財産に山林が含まれている場合は、遺産分割協議が終わるまでの間、山林は相続人全員の共有名義となります。つまり固定資産税は共有者全員に課税されることになります。
山林が共有名義の場合、通常であれば代表者を決め、代表者に固定資産税の納付書が送付されるよう、事前に申請を行う必要があります。ただし、負担するのはあくまで共有者全員であるため、代表者が全額支払った場合、他の共有者は自分の負担分を代表者に渡さなければなりません。
山林を相続したときに発生するのが相続税。山林を相続する場合は、相続税を支払わなければいけません。では相続税はどのようにして金額が決められるのでしょうか?
山林は所在する地域の状況よって、市街地山林・純山林・中間山林の3種類に区分されます。相続税は、山林がどの区分に該当するかによって、算出方法が異なります。
6-1. 山林の種類と定義
山林は、地域の状況により以下の3つに分類されます。山林がどの種類に当てはまるかによって、相続税の算出方法は変わってきます。
純山林
市街化地域から遠く離れた地域にあり、宅地の価格の影響をほとんど受けない山林のことです。
中間山林
市街地の近郊にあり、売買価格の水準が、純山林より高い水準にある山林は、中間山林となります。
市街地山林
都市計画法による市街化区域にあり、土地の評価額が宅地の価格に影響される山林のこと。住宅地内や住宅地に隣接している山林のことを指します。
6-2. 相続税の計算方法その1 純山林と中間山林の場合
純山林と中間山林の相続税評価額は倍率方式で算出します。計算式は次の通りとなります。
固定資産税評価額×倍率=相続税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税の項目ですでに説明した通り、地方自治体が、地目の評価方法に従って、評価額を算出します。固定資産評価額は、納税通知書に添付された明細、もしくは固定資産評価証明書で確認できます。固定資産評価証明書は、不動産の所在する地域の市町村等役場の窓口で取得することができます。
倍率は、山林の状況や地価事情の似ている地域ごとに、その地域の山林の売買実例価格、精通者意見価格などをもとに国税局長が定めているもので、具体的な数値は、毎年国税庁が発表する「財産評価基準書」で確認できます。
6-3.相続税の計算方法その2 市街地山林の場合
市街地山林の評価は、宅地比準方式で算出します。
山林を宅地とした場合の評価額-造成費=相続税評価額
宅地比準方式とは、その山林を宅地として評価した価格から山林を宅地に造成する費用を引いて算出します。ただし、市街地山林であっても、宅地に転用することができない山林は純山林として相続税評価額を算出することになります。
山林の場合、固定資産税の評価は1㎡あたり数十円と安く設定されていることが多いため高額になることはほとんどありません。しかし相続税評価額は固定資産税評価額の数倍以上になるため、事前に相続税評価額を算出して、相続の有無を検討すると良いでしょう。
山林に課税される固定資産税や相続税が負担になれば、相続放棄や売却によって山林を手放すという選択をすることができます。しかし相続放棄を選択すれば、山林を相続せずに手放すことができますが、山林以外の財産もすべて放棄しなければいけなくなるため、相続放棄は得策とは言えません。
もしも活用する予定のない山林であれば、売却する方が良いこともあるためよく検討してみましょう。ただし、山林は、相続が発生してから90日以内に、市町村に相続の届け出をしなければなりません。また、相続税は被相続人の死亡を知った日から10か月以内に申告と納税が必要となります。そのため、山林を売却する場合は、山林の買い手を見つけるまでに時間がかかってしまうと、多額の相続税が課税されてしまうことになるので注意が必要です。
山林を所有すると、評価額によっては、固定資産税がかかり、また山林を相続する際には相続税がかかります。
固定資産税がかかる場合は、毎年税金を納めていく必要があります。山林の相続税は、固定資産税評価額の数倍以上になるため、将来的に収益が見込めない、活用が難しいといった場合は、山林の売却を検討してみるのも良いかもしれません。
緑地管理では、山林を売りたい、売却を検討している方々のご相談にも応じています。山林を相続したものの、活用方法が見つからず売却を検討したいという方は、お問い合わせください。
緑地管理@All Right Reserved.