山林管理の方法を考える 山はどうすれば活用できる?

山を所有しているものの、どう活用していいか分からない。

そんなお悩みを抱えている方はたくさんおられるのではないでしょうか?相続などで山林を所有することになっても、山林経営のノウハウがなければ戸惑うことが多く、何も活用できずに放置しているといったケースは数多くあります。

そこで今回は、山林管理について考えながら、山林の具体的な活用方法をご紹介していきます。

1. なぜ山林は放置されてしまうのか?

先祖代々から受け継がれている山林がある、相続で突然山林を所有することになったという人の中には、上手く活用ができていない、なかなか売却ができないと悩んでいる人がたくさんおられます。山林は個人の資産とはいえ、山林経営のノウハウがない人にとっては大きな重荷となってしまいがちです。

しかも、バブル崩壊後における地価の大幅な下落により、資産価値は大幅に下がっている上、山林を適切に維持管理するためには、新たな資金を投入していく必要があります。

こうした事情から、広大な山林を安値で手放す人が増えています。また山林は固定資産税があまりかからないことから、手入れをせずそのまま放置してしまうケースも多く見られます。

2. 山林が放置されることで起きる問題とは?

山林は放置しても、木や植物は自然に育つのでは?
そんな考えから山林を所有しても放置することに何ら問題はないと思う人がいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。日本の森林は、大きく「天然林」と「人工林」の2種類に分類することができます。人工林は育成林とも呼ばれ、木材の生産目的で人工的に苗木の植栽や種まきを行ったり、間伐を行ったりする森林のことを指します。現在、この人工林は、日本の森林全体の約4割を占めていると言われています。この人工林は、木そのものは自然のものであっても、天然林と違い自然にできた森林ではありません。人の手で作られたものだからこそ、人の手で植林を済ませた後は、下刈り、枝打ち、間伐を行い、木の育成を促していくことが求められます。もし下刈りや間伐など手入れが適切に行われなければ、地表に日光が当たらなくなるため、根が張らず、土がやせていきます。もし大雨や台風などの災害が発生した場合は、根が水を吸いきれずに土砂災害が発生してしまうこともあります。また手入れが行われない人工林では、高い木が生い茂りシカの好物であるやわらかい草が生えない状態になっています。そのためシカがエサを求めて山を下り、畑の農作物を荒らすなど、荒れた山林は獣害が起こる要因のひとつにもなっています。山林は数十年間放置すると木材の質が低下し、財産的価値が下がります。そうした資産価値のことを考えれば、山林管理がいかに重要であるかは明白ですが、もう一つ、環境保全の観点からも非常に重要な意味合いがあることを私たちは知っておかなければいけません。

3. 山林を活用する

安価な輸入木材が市場に出回り、国産材の価格が低下する中で、山林には価値がないと考えられがちですが、今は新たな土地活用、投資先として、山林は大変注目されています。
ここでは、どんな活用方法があるのか代表的な事例を紹介していきます。

3-1. 山林活用その1 木材販売

山林の活用方法を考えるとき、まず一番に考えるのは、山林内の立木を木材として売ることではないでしょうか。つまりは林業を営むということです。国産材の価値が低下し、林業で収益をあげるのは難しいイメージがありますが、山林投資の基本はやはり育林です。
もちろん中長期的な視野が必要になりますが、スギやヒノキを植林して、成長させることで得られる利益には、投資に値する価値があります。特に、2021年のウッドショックによる木材不足や輸入木材の価格上昇、バイオマス発電の普及による木材需要の増加によって、国産材の価格は以前と比べて上昇していると言われています。
木材を販売するのであれば、重要になるのは山林の維持管理です。山林は数十年間放置すると木材の質が低下するため、財産的価値が下がります。山林の価値を保つためには、定期的に下刈り、枝打ち、間伐等を行って山林を整備していく必要があります。適切な方法で手入れをすることで、質の良い木材が育ち、結果的に生産量が増加します。
山林の維持管理には費用こそかかりますが、国や都道府県、市町村等が補助制度を設けており、税金や必要経費において恩恵を受けられることもあります。補助金は、環境保全の観点からも重要な山林維持管理を目的とする森林整備事業に対して支出されるため、下刈り、枝打ち、間伐、林道整備などの作業は、補助金の範囲内で行うことが可能です。

3-2. 山林活用その2 太陽光発電

林業以外で、山林を活用する方法の一つに「太陽光発電」があります。
太陽光発電では、土地上に太陽光発電装置を設置し、そこで発電した電気を売って収益を上げることができます。
太陽光発電は、周囲に日光を遮るものがない広い土地であればあるほど利用価値が高いため、近くに住宅や高い建物などがない場所は特に向いています。山林は、木を伐採し土地を整備すれば、広い土地を確保やすいため、太陽光発電に適しているケースが多くあります。
ただ太陽光発電には、設備の設置や工事費用といった初期費用がかかります。
山林の場合は、背の高い木々が生えていたり、周辺に電線がなかったりするケースが多い上、伐採によって地盤が弱くなると土砂崩れの危険性が高まるため、土地を造成する必要も出てきます。さらに、山林には送電線が通っていないことがあるので、その場合には、送電線を通すコストもかかります。
しかし現在、太陽光発電への投資については、国からの援助があります。また一旦設備を整えれば、ランニングコストはあまりかからないというメリットがあるため、おおよそ10年で投資した資金を回収できる場合もあります。
太陽光発電設備を山林に設置する際は、場所の選定や費用、木の伐採や土地の造成に関する法律の制限など、山林ならではの問題がいくつかあります。そのため、まずは自分の土地に太陽光発電設備の設置が可能かどうか、どのくらいの収益を得られるかなど、事前にリサーチし、検討することが大切です。

3-3. 山林活用その3 山林賃貸

個人や民間企業に山林の土地を貸し出しすることも、有効な山林活用方法の一つとして考えられています。
山林地を住居として使いたいというニーズや、企業の事業所や施設、従業員の寮として山林を利用したいという企業もあります。
山林を賃貸する方法としては、土地をそのまま貸して、借主に建物を建築して所有してもらう方法と、土地上に自分で建物を建てて、その建物を賃貸する方法の2種類があります。
建物を建てるにあたり、市街化調整区域になる場合には建築制限があるため、制限内容を確認してから建物の建築に取りかかる必要があります。しかし、山林であれば都市計画区域外になることが多いので、心配しすぎる必要はありません。
最近では、アウトドアブームを活用して、キャンパーに森林をレンタルするサービスなども登場しています。自分で山を持つと固定資産税の支払いや、山の維持・管理などが求められますが、レンタルであればそうした心配は一切不要に。そんな気軽さが人気を呼んで、申し込みが殺到している事例もあります。

4. まとめ

山林は放置せずに、適切な手入れをしながら維持管理していくことが、資産価値を上げるとともに、環境保全への貢献にもつながっていきます。そのため、山林を所有している場合は、林業のほか、太陽光発電や山林の貸し出しなど、所有者にメリットがある方法で山林を活用したいものです。

株式会社緑地管理では、栃木、群馬、茨城の関東圏を中心に、お客様から委託を受けた山林の伐採、地ごしらえ、植林、下刈り、間伐、山林管理のほか、シカやイノシシによる樹木の食害を防ぐための忌避剤散布や獣害対策用のネット張りを行っています。山林を所有しているものの手入れに困っているという方は、緑地管理にご相談ください。

また私たちは、山林を売りたい、売却を検討している方々のご相談にも応じています。山林を相続したものの、活用方法が見つからず売却を検討したいという方は、お問い合わせください。